『堅実』『温故知新』『値段≠性能』『百聞は一見に如かず』
本来買う予定ではなかったが、急遽の変更で白羽の矢が立った機種。軽くレビュー。 最初に結論から言うと、買い得しかないヨーヨーと言える。商品説明通り、かつてヨーヨーオフィサーで人気を博した『ハチェット』シリーズの正統後継であり、現代に合わせてアップデート・リメイクされている。数値スペック自体は極々普通。重量・直径・幅、どれにおいても尖ったところがない。形状もハチェットシリーズを踏襲して基本形、特にシェイプは見た目にほとんど変わっておらず、これまた特段尖ったところのないお手本のようなHプロファイル。これだけ書くと「中国メーカーあるあるの値段相応な安価バイメタル」と書きたくなるが、復活したヨーヨーオフィサーの技術力というか底力を見せつけられた。投げた瞬間からわかる、圧倒的バイメタルのパワー感。そこまでステンレスリムを盛ってないように見えるが、操作中のリムの存在感がすさまじい。重量自体はそこまで重くないが、手ごたえを考えると体感67~8g級の重量感があると思う。おかげで安定性も抜群、緊張した中でもこの重量感ならそうそう簡単に見失うことはないだろう。そのパワーにもかかわらず操作性は悪くない。どちらかと言えば良好。パワーを前面に押し出しながらそれなりにキレがある。名前の『ハチェット』の通り、パワーを出しながら取り回しもある程度担保されている形だ。スリープの伸びも良く、値段不相応の伸びを見せてくれて不足感は全く無い。そして最大のセールスポイントともいえる値段である。復帰して6年目、初心者に毛が生えた腕ながらにガチ・ネタ、高価・安価、金属・プラ、国内・国外様々なヨーヨーを振ってきたが忖度なしに12000円でも安いと思える性能。ぶっちゃけ15000で売っても通用する性能だと個人的には思う。それを10000円はおろか9000円を切る値段で売っているのだから絶賛出血大サービス状態。これ採算度外視で売ってるな?と疑うレベルである。何回か振って、思わず岡田さんと城戸さんに「このヨーヨー(ハチェットSS)の値段と性能についてどう思います?」と尋ねてしまったが、岡田さんは「この性能でこれは価格破壊もいいとこ」、城戸さんは「大会の予備ヨーヨー、予算が足りなかったら最初の一個を除いて全部これでいいレベル」と返答をくれた。まあなんというか、案の定というかですよねー、といった答えである。ヨーヨーのプロがこういうのだからもうお察しだろう。初めてのバイメタルにも、最近の幅広化にちょっと嫌気がさした人にも、(強度面はわからないがスペック的に)3A用のバイメタルとして数をそろえたい人も、高価なヨーヨーを温存して屋外用のバイメタルが欲しい人も、迷ったら「買え」の一品。 ここからは値段に対しての蛇足かつ自分の勝手な考察だが、岡田さんは上記の後に「まあPR目的もあってちょっと無理してるところはあるかもしれないかな」と加えた。商品説明でもある通り、オフィサーは2021年のイファルジェンス、デリュージョンの発売を最後に4年休止していた。その復活第一作がフルームとこのハチェットSSなのだ。最近復帰した人、正直自分にもあまりなじみのないメーカーだが2012年設立でリワインド博物館にも設立初年度からのヨーヨーが掲載されている古参、なによりヨーヨー激戦区の中国を生き残ったメーカーである。安さに特化したヨーヨーなら掃いて捨てるほどある中国の中で、休止しながらも現代まで生き残ったこと自体が強豪メーカーとしての証明である(実は最近『イグニス』をリリースした3Aプレイヤーのイトウリョウスケ選手の古巣だったりする)そんなオフィサーだが、自社作品のセルフリメイクヨーヨーやセルフアップデート機種がちょくちょくある。前に書いたイファルジェンス・デリュージョンはもちろん、ハチェットも元々ブレイブというヨーヨーを改変してできた機種。ハチェットシリーズはSSで4代目、オフィサーの看板機種ともいえる『キルター』シリーズと並んでいる。つまりはそれほどハチェットシリーズは優秀かつ人気だったのだろう。3代目のハチェット+が2017年発売なのでほぼ10年越しの後継機である・・・あるが、10年近く経ちながらそこまで数値スペックは変わっていない。重量1g、直径1mm、幅2mm。たったこれだけの差異しかないのだ。フルームやグランスを見るに、幅広機種を作れないわけでもないのに現代における平均数値スペックに「あえて」したのかと自分は最初邪推してしまった。良く言えば「堅実」「バランスがいい」、悪く言えば「古臭い」「特徴が乏しい」ハチェットSSだが、岡田さんの言葉を聞いて考えれば、性能と値段のミスマッチも納得がいく。あらゆる買い物に言えるが、たいていの人は最終決定権の中に「値段」「性能(機能)」のリソースが多く割かれるだろう。ただでさえ昨今は物価高の中、少しでも安い買い物をしたいのは事実。自分を含めて最近の人には馴染みのないメーカーの復帰第一作目。メーカーとしては新規の顧客層を取り込みたくて美辞麗句を並べるかもしれないが、結局は百聞は一見に如かず・論より証拠で、手に取ってもらうのが一番の宣伝になる。ならどうするか。手っ取り早く安く、且つド安定の鉄板性能機種を売るのである。ただ安く売ると日本人には「安かろう悪かろう」という精神があるので性能を疑ってしまうし、更には「高い≒性能がいい」と漠然と思いこんでしまうので余計に印象が悪くなってしまう。実際近年の各メーカー、特にシグネチャーバイメタルモデルなんかは20000円近くするのも珍しくないのでそんな中バイメタル9000円と言われれば誰だって思わず耳と目を疑う。しかし実際の性能は前述の通り一切の妥協がない仕上がり。なのでハチェットSSのこの値段は「儲け云々を抜きにして兎に角お客にハチェットSSを買ってもらい、自社のヨーヨーの性能・技術力を知ってもらう」為の宣伝処置だと考えられる。なので今後リリースされる機種の値段はわからないが、少なくともバイメタルでハチェットSSを下回る機種は出ないだろうと思われる。素人の自分でも十分高性能を実感したのでとりあえず迷ったら買いましょう。性能が尖りまくった下手な高価バイメタルよりも価値があるかも。












