革命的進化型ブレイン
1997年。空前のハイパーヨーヨーブーム真っ只中、全くの偶然で手に入れたハイパーブレインから始まった私のヨーヨー歴。2000年頃まで続けたものの、結局ハイパーレベルのトリックがいくつか出来る様になった程度の実力のまま次第にフェードアウト。その後は、何年かに一度程度思い出して少し振って懐かしさに触れる事はあったものの、第二期ハイパーヨーヨーを店頭で見かけても購入には至らず、第三期に至っては展開されたいた事すら知らなかった。そんな私が、2020年突如としてヨーヨーへの復帰を決め、その最初の機種として選んだのがこのパワーブレインXPであった。そう、私にとって始まりのヨーヨーがハイパーブレインであったならば、再開の最初に手にすべきは進化したブレインであるべきだと思ったのだ。パワーブレインXPは、ブレイン→エックスブレイン→パワーブレインと進化してきた、アメリカヨメガ社を代表するブレインシリーズのひとつ。その名のとおり、まるで頭脳を持っているかのように、スリープ力が弱まると自動的にストリングを巻き取り手元に戻ってくるオートリターンシステムを搭載したヨーヨーシリーズである。その秘密である遠心クラッチの形状や仕組みが、より一層進化したのがパワーブレイン。そして、本機はそのパワーブレインに、オートリターン機能のオン・オフが行えるスイッチを搭載したモデルとなる。ブレインシリーズは、正しくスローしないと遠心クラッチが開かずスリープしない特徴があり、これにより初心者は最も基本となる正しい投げ方を身につける事が可能となるのが最大の利点となる。が、一方でこの遠心クラッチが、ある程度技術を身につけてくると、スリープのもうひと伸びを阻害しオートリターンしてしまう為に邪魔な存在となるデメリットがあった。そこで、かつてのプレイヤーは遠心クラッチを働かせている専用ナイロンベアリング(プラスチックスプール)に搭載されているゴム製Oリングを取り外し、オートリターンしないようにして使い続けるか、もしくはブレインの使用を諦め、ファイヤーボールやレイダーに乗り換える事でステップアップしていっていたのである。そんな最大の長所が同時に最大の欠点であったブレインシリーズにとって、スイッチひとつでオートリターンのオン・オフを可能としたパワーブレインXPは、革命的な機種と言えるのではないだろうか。基本が身につくまではオートリターンをオンにして修行。技術が身に付いてからもスイッチをオフにして、更なるステップアップがこのヨーヨーひとつで可能なのである。パワーブレインXPをスイッチオフで使っていても性能が物足りなくなる程に上達したならば、しっかりと基本が身に付いているだろうから、バインド機種へ乗り換えて1A・3A・5A部門へ進んだとしても、ルーピング機種で2Aに進んだとしても、オフストリング機種で4Aに進んだとしても、知識と経験が役に立つはずである。少々余談ではあるが、パワーブレインXPはブレイン(クラシック)と比較して一回り程大きいボディサイズが採用されている事を付け加えておこう。